図書館からのおススメ絵本 ~Vol.130~

先週に引き続き、もう1冊長いお話をご紹介します。

6歳~の絵本

 『沖釣り漁師のバート・ダウじいさん』 ロバート・マックロスキー/さく,わたなべ  しげお/やく ほるぷ出版 1978(絶版) 童話館出版 1995

海を見下ろす白い家に住むバート・ダウじいさんは、せっかちな妹と暮らす歳とった沖釣りの漁師です。壊れた小舟に植えた花に水をやったり、まだ動く自分の舟「潮まかせ」号にペンキ塗りの仕事で残った色とりどりのペンキを塗ったりして暮らしています。

ある朝、「潮まかせ」に乗り込んで沖に釣りに出たじいさんの釣り綱に、大きなくじらが掛かってしまいました。暴れるくじらをどうにかなだめたじいさんは、釣り針が引っかかって穴が空いてしまったくじらのしっぽに、カラフルなしまもようの絆創膏を貼ってあげて一安心。ところが、そのどたばたの最中に天気が悪くなってきたことに気が付きません。気づいた時には転覆しそうになっていたじいさんは、くじらに風が収まるまで「潮まかせ」を飲み込んでくれないか頼みます。そうして胃袋に入れてもらったは良いけれど、はたしてちゃんとくじらは吐き出してくれるのでしょうか。妹の待つ小さな家に、無事に帰ることができるのでしょうか。

お話の展開の面白さもさることながら、目を見張るような色彩豊かな紙面に夢中になって、小さな私は何度この絵本のページをめくったことでしょう。この絵本が与えてくれた沢山のワクワクが、その後私をナルニア国やコロボックル、シャーロック・ホームズや指輪物語に連れて行ってくれたのです。その子が必要な時に必要な絵本を。図書館は扉を開いてお待ちしています。(su-san)